FC2ブログ

「~東方二次創作小説~」
東方短篇録

藍と紫が出会ったころのお話 《後編》

 ←藍と紫が出会ったころのお話 《前編》 →3000HIT、さーくるけーさんくす!(オイw)
ハトさんからのリクエスト小悦『藍と紫が出会ったころのお話』

後編です、果てしなく切なくて悲しくて救われない・・・自分で書いたのにこんなこと言うのもなんだけど、ドウシテコウナッタ

今更だけど、オリキャラ(しかも本編じゃ名前語られないっていう)います。すいません==;
シリアスな・・・と言うか、鬱展開でマジすいません・・・・orz

ろーぜんさんとゆるりさんのリクも今月中に書ければいいなぁ・・・頑張って書いていこう。

↓↓↓本編↓↓↓









彼は元々、猟師だった祖父と二人暮らしだったらしい。両親とは死別し、その祖父も亡き今、彼は猟師の仕事を引き継ぎながら畑で作物を育てていた。

少しでも彼の役に立とうと、負担を減らそうと私は家事を率先した。
最初のうちこそ、料理も洗濯もロクにしたことが無かった私は失敗ばかりを繰り返していたが、今ではほぼ完璧にこなせる・・・彼の役に立つ、それが私の生き甲斐になっていった。

やがて数年の月日が流れる。
幸せの終わりは、何の複線もなく、突如として訪れたのだった。

「~♪」

鼻歌交じりに洗濯を終え、私は川から帰ってきた。
そろそろ麓の村に買い出しに行った彼も戻っているはずだろう、疲れている彼にお茶でも入れようと戸を開けた。

しかし、彼の姿はない。
茶を入れて待ってみたものの、彼が戻ってくる気配はなかった。

遅すぎる・・・彼に何かあったのか?

私は自分が妖怪であることも忘れ、村へ急ぐ。そこで、信じられないものを見てしまう。

柱に彼がくくりつけられ、茅と薪に囲まれている。それを憎悪の眼差しで睨みつける村人達。
村人達が口にするのは「妖怪に憑かれた愚か者」「裏切り者」「忌むべき存在」

今まさに、松明が投げ込まれて炎が上がる。

考えるよりも先に、私は行動を起こしていた。

罵倒している村人達を、男も女も子供も、彼を殺そうとするその場全ての人間を引き裂き、妖力で作り出した炎弾で村を焼き払う。「彼を火あぶりにするというなら、私が貴様らを火あぶりにしてやる!」と叫びながら。

手当たり次第に殺戮し、村人達を蹴散らすと柱に縛られた彼を助ける。幸いにも、殴られた傷と軽い火傷だけだ。すぐに意識も戻り―――

――――彼は私を突き飛ばした――――

何事かと顔を向けると、そこには刀で腹を刺され、滝のように血を流す彼。

「あ・・・あぁ・・・うわあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」

彼を刺した男を八つ裂きにし、もはや冷静という言葉とは百八十度違う状態の私は再び破壊と殺戮を繰り返す。

なぜだ・・・彼がお前たちに何をした・・・人と、妖怪とが共に歩んではいけないのか・・・!?

怒りを、悲しみを、もはや自分がどんな感情なのか言葉で表すことなどできない。
ただひたすら、叫んでは切り裂く。

気がつけば私は村を壊滅させ、彼を背負って家まで・・・あの橙の木の場所までやってきた。
木を背もたれに寝かせる、彼はもう虫の息だった。

「あのときとは・・・立場が逆だな」

小さく苦笑しながら彼は言った。だが、完全に逆ではない。私ではもう彼を助けられない。
役に立てない自分が、腹立たしかった。

「一つ、話を聞いてくれないか?
この木・・・橙の木なんだけどさ、俺の爺さんが生まれたときに植えられたものなんだ。
小さい頃はよくここで遊んでた・・・あの頃は何度も木から落ちてその都度大泣きしてたっけ・・・。
こないだ二人で食べた焼き魚、醤油とこの実の果汁をかけると美味かっただろ?あれも爺さんから教わった・・・果物は直接食べるだけじゃないってな・・・。
俺にとっては、大切な場所なんだ・・・ここで君にも会えた・・・ここで死ねるなら・・・」

私は彼に抱きついた、今まで堪えていた涙を溢れさせて。

「嫌だ・・・嫌だよ・・・死んじゃ嫌だ・・・私の傍に居てくれ・・・私を一人にしないで・・・」

遅かれ早かれ、こうなることは分かっていたはずだった。
人間と妖怪では生きる時間が違う。人の一生も、長い刻を過ごす妖怪から見れば瞬き程度のもの。

それでも、こんなに早く彼との別れが来るなんて思ってもいなかった。

「・・・これが・・・最後だろうから・・・伝えておく・・・。
俺はお前に会えたことに・・・後悔なんてしてない・・・こんなにも綺麗で可愛らしいお前と・・・短い間とはいえ・・・幸せに・・・暮ら、せ・・・た・・・」

僅かに聞こえていた呼吸も、言葉とともにゆっくりと止まっていく。
冷たくなった彼の腕の中で、ただひたすら私は泣いた・・・。





「――――彼の思い出の場所だから、彼と私の大切な場所だから・・・私はずっとここを守ってきた」

「そう、ご苦労な事ね。でもいつまで続ける気かしら?
貴女のやっていることは人も妖怪も敵に回す・・・ここに根を張ってる限りは」

「分かっている。それでも私は・・・」

「助けてあげてもいいわよ」

「・・・え?」

「私の能力を使えばその木を、強いてはこの場所を別な場所へ移すことができる。誰にも邪魔されない場所に、ね?」

彼女はウインクして首を傾げてみせる。
見た目だけなら、年相応の少女に見えるだろう。

「そんなことをして・・・お前に何の見返りがある?」

「そうねぇ・・・手を貸してあげる代わりに私の式神にならない?
丁度、家政婦が欲しいところだったから。式としての力が貴女に与えられて強くなるし、悪い条件じゃないと思うけど」

「・・・お前に仕えれば、本当にここを―――」

「ええ、約束するわ。じゃあ・・・なってくれるのね?」

「ああ。私とてこれ以上血が見たいわけでも、好んで争いをしたいわけでもない。
それに、あなたへの興味も湧いた。掴めそうで掴めないその胡散臭さに」

「あらあら・・・随分手厳しいことで。
まだ名乗ってなかったわね。私は紫と書いて“ゆかり”
境界を操るスキマ妖怪の八雲紫。で、貴女の名は?」

「私の・・・名前・・・」

思い起こせば今まで気にしたこともなかった。

彼と過ごしていた時も、“あなた”と“おまえ”で通じていた。もちろん、彼にはちゃんとした名前があったが、当時は夫婦のように互いをそう呼び合っていた。

「・・・『藍』なんてどうかしら?」

伏せた顔を見て察したのか、紫はそう言った。

「橙を赤に見たてて、藍を、青を混ぜれば・・・紫色になるじゃない?
私の式の名にピッタリね、うん。今日から貴女は八雲藍よ」

強引なお方だ・・・まあ、悪くない名前だ。
紫色に染め上げるための橙と藍、か。










「――――大変だったのはそれからですよ。紫様ったら一人じゃロクに家事も出来なくて・・・あの頃は卵焼きと言う名の炭が食卓に並んだり、洗濯ものがボロ雑巾になったりしたのをよく覚えてます」

未だ紫様の枕になってる彼は苦笑する。
今でこそ(辛うじて)人並みに家事をこなせる紫様だが、よく砂糖と塩を間違える人だ。彼も思い当たる節があるのだろう。

「で、庭に植えられているのがその橙の木です。
私の可愛い橙も、あの木にちなんで名付けたんですよ」

「・・・随分楽しそうね、藍」

下からの声に二人は視線を落とす。
紫が、何か含んだような表情で藍を見つめる。

「ゆ、紫様!?
いつから起きて―――」

「藍が“例の彼”と暮らし始めるくらいのところから」

「あ、あぅ・・・」

「それにしても私に話した時より随分うれしそうに話してたわねぇ・・・昔の想い人より、今目の前の色恋の方がいいのかしら?ねえ、藍?」

半目を開けた紫は探るように射抜く。
藍が一瞬、たじろいだ。

「そ、そんなことないですよ!今でもあの人のことは胸に留めていますし・・・そ、それは彼も魅力な殿方ですけれども―――」

「やっぱり藍も狙ってたのね・・・駄目よ。駄目ったら駄目よ。彼は渡さないわ。私の、私だけの彼なんだから!」

紫が彼の腰へ、「動かざること山の如し」と言わんばかりに抱きつく。

「ね、狙ってなんかないですって・・・ほら、彼も苦しそうですからやめてあげてください」

「嫌よ。今夜はずっと彼の傍にいるって決めたんだから。
はい、藍。私のお茶ぬるくなっちゃったから淹れなおしてきて」

「はぁ・・・式神づかいが荒いお方だ・・・」

立ちあがって台所へ向かう。二人きりになれたからか、嬉しそうに紫様は彼とイチャつき始めた。

今の生活に充実してるかどうかと聞かれれば、答えを出し渋ってしまうが・・・まあ、概ね今の暮らしに満足している。よく面倒事も押しつけられるが、もう慣れてしまった。

これも彼と出会ったがゆえになのだろう。彼との出会いが無ければここに私はいなかったかもしれない。

縁側を通りかかった時、ふと外の橙の木を見つめる。こちらに背を向け、一人の男が立っている。
さっきまで話題になっていた、あの人物だった。

「っ・・・!」

靴下が汚れようが、お構いなしに藍は駆け寄る。すると、男はゆっくりと振り返り・・・笑みを浮かべ、霧のように消えていった。

―――――頑張れよ、家政婦さん。幸せに、な―――

夢か幻か・・・藍の目尻にはいつの間にか大粒の涙が溜まっている。

「・・・ありがとう―――」

感謝の言葉を、そして彼の名を口に出した途端、涙が溢れた。
月明かりだけが藍と橙の木を照らす・・・。



~END~
スポンサーサイト



総もくじ 3kaku_s_L.png ~日記~
総もくじ 3kaku_s_L.png ~製作物等~
総もくじ 3kaku_s_L.png ~東方二次創作小説~
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ~日記~
総もくじ  3kaku_s_L.png ~製作物等~
総もくじ  3kaku_s_L.png ~東方二次創作小説~
もくじ  3kaku_s_L.png AVA
  • 【藍と紫が出会ったころのお話 《前編》】へ
  • 【3000HIT、さーくるけーさんくす!(オイw)】へ
 

~ Comment ~

No title 

やはり個々のイメージの違いからか最初は口調が気になりましたが、読んでる途中から見事に引き込まれてしまいましたわ(・ω・`)
いやぁお上手ですなぁ、文系ですかな?w

次回作も期待してます(。-_-。)

 

やっぱり切ないENDか……


お疲れ様です。
展開のせいでこのらんしゃまは聖と絡んだら面白そう、と思ったり思わなかったり……

No title 

湿布さん、口調がねぇ・・・掴みづらい所あるんですよね。妖夢とか妖夢とか妖夢とか
原作で藍と紫に会ったことないヘタレシューターってのもあるんですがwww

文系・・・なんですかねぇ?自分でもよくわからないという==;
多分、小説を見るのも書くのも好きだからなんじゃないかと。

次回作はろーぜんさんリクエストの「えーりんと輝夜とうどんげが月に居たころのお話」でございます。まだ下書きも大まかな流れも考えていませんが、今月中を目指して書きたいと思いますです。m(_ _)m

No title 

ツエーリさん、初恋は儚く終わってしまうものなんでしょうかね…。

聖も弟さん無くしてるからなぁ・・・大事な人を亡くしてるという点では、この藍しゃまと分かりあえそうですw
一瞬、どうやって絡ませようとか本気で思いましたw

No title 

おおおおお!すごいです!いや、すごすぎです!
これはサークルを作って小説を売るべきです!
こみトレでも売っているサークルを見かけましたので・・・
なにはともあれお疲れ様です!
感想はただ1つ!感動しましたww

No title 

マスター・・・とても強い酒をストレートで二杯貰えるかな?

あぁ、とても悲しい事があったんだ・・・

一杯は彼に捧げるんだ。

そして、心が暖かくなる事もあったんだ。

もう一杯は、彼女の幸せに捧げたいんだ。

そう言って、私は一杯目の酒(祈り)を飲み干した(捧げた)


やべぇ・・・泣いても良いですか(泣

悲しすぎる・・・

だけど、藍は今も幸せなのだと分かる良い話でした!

No title 

ろーぜんさん、いやー、ちょっと省いたシーンもあってか展開が強引すぎるかな?って思ってたんですけど・・・ありがとうございますb

俺も例大祭spとか冬コミで知った、リスペクトに価する小説サークルさん達がありました。あのお方と達と比べれば自分なんてヒヨコですよ^^;

もしもサークル作ったら多分、最初は挿絵入りの小説で出すかもw

No title 

ゆるりさん、俺の親父のブランデーでよければ、どうぞw

「長く生きれば生きるほどつらい悲しみがあるんじゃないか」と妖怪側の視点になって書いてみた次第です。でも、悲しみに比例して幸福もあるんじゃないかなーと。

別れがあれば出会いがある・・・藍には紫と橙がいますから、今の暮らしは幸せなんでしょうね。

No title 

(´;ω;`)ブワッ

これを読んで藍様がもっと好きになりましたよ・・・

個人的にはこういう切ない話大好きなんです

是非原作で藍様と紫様にお会いして下さいな


遅くなりましたが感動をありがとうございます!

No title 

ハトさん、お忙しいのに読んでいただいてありがとうございます。m(_ _)m

正直、煮詰めるのが足りなかったかなと思っていたのですが・・・ありがとうございます。

切なくて儚くても・・・最後には救いを与えたい。そう思って書いたのが最後です。当初は紫が眼を覚ましたら、ほのぼのと終わらせる予定でしたが・・・内容が内容だけに、悲しくても再開させました。少なからず、この藍には残酷なことでしたけども==;
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【藍と紫が出会ったころのお話 《前編》】へ
  • 【3000HIT、さーくるけーさんくす!(オイw)】へ